我が家は東向きのゆるやな斜面に建っており、通勤に使っているJRの駅よりは高い位置にあるので、帰宅時は登り勾配となる。緩やかな斜面と言っても、4%弱(「%」は、勾配を表す単位で、4%だと水平方向に100mいって、垂直方向に4mの高低差があるということ)あるので、凍り付いた道は歩くのには気を使う。
このところ、冷え込みが厳しくなって、先の土曜日には一晩で20センチほどの積雪があった。まだ本格的な冬にはちょっと間があるので、積もった雪もそのまま根雪にならず、おおかたは日中のお日様のおかげで熔けたりしたのだが、それでも日陰になるよなところでは、氷となってしぶとく生き残っている。上り坂でも気を抜くと足を取られたりするので、下を向いて、凍り付いてなさそうな箇所を選びながら、今日も帰宅の歩を進めていた。
足下ばかり気にして歩いていたのですぐ近くになるまで気付かなかったのだが、坂道を下ってくる男性が私とすれ違おうとしたそのとき、宙に浮いた。思わず歩みを止めたが、幸い、お尻のあたりから上手に落ちたようで、『ドスン』という音はしたものの頭を打った様子もなく、すぐに起きあがって、「イテテ・・・」とつぶやきながら私の横を通り過ぎていった。頑丈そうな体つきの私よりはるかに若い方だったので、「大丈夫だろう」と声もかけなかったが、あれは痛いに違いない。私の経験では、宙に浮いて地面にたたきつけられたすぐ後は、気恥ずかしさが先に立って痛みを消してくれるが、後からぶり返してくる。
坂道で滑らないためには、できるだけ凹凸のある場所を探しながら歩みを進めることと、歩幅を小さくすることである。路面状態によっては、足の寸法より小さな歩幅で対処することもある。ペンギンさんの気分である。
北国の冬道は、毎日が真剣勝負だ。これから、気の抜けない季節が続く。