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プロローグ 1
 「どこかに出かけてみたいね」
 どちらかともなく切り出したこの一言で、私たちの旅は始まった。
 講義のなかった日の昼さがり。この部屋の主がカリカリとコーヒーミルを回している。香ばしい香りが狭い4畳半の部屋に満ちあふれた。コンポからブルーノートが流れ、壁では彼のお気に入りのオードリー・ヘップバーンが微笑んでいた。
 彼とは、高校2年でクラスになってからのつきあいである。穏和な彼は、私の毒舌にも苦笑いで受け流すような性格だった。高校時代を過ごした街にある志望校に嫌われ、地方都市の単科大学に合格して、晴れて大学生になったとき、不幸にも彼は私と同じ道を歩んだ。お互いに講義のない時間には、喫茶店でマイルス・デービスを聴きながら漫画を読むか、私の下宿より大学の近くにある彼の部屋で時間つぶしをするのが常であった。
 高校時代には、大学生にさえなれば、束縛されない自由な時間が過ごせるものだと思いこんでた。実際、大学生となってみると、朝の8時半から夕方の5時まで講義が詰まっていて、受験勉強の頃と何ら変わらない束縛があった。むしろ、高校なら3時過ぎには授業が終わっていたので、束縛される時間は長くなった。大学生といえども、本分は勉学に勤しむべき存在なので、当たり前の生活といえばそれまでだが、一度描いた夢を「夢だったのだ。」の思い直すことも難しく、ある種の失意を感じた。
 地方都市の単科大学という環境もたぶんに影響していた。工業都市のせいもあるのだろうが、高校時代を過ごした札幌より娯楽、商業施設が少なく、刺激がなかった。都会の大学に通う学生すべてが満ち足りた学生生活を送っているとも思えないが、少なくても私たちはかなり単調で漫然とした学生生活に飽きていて、変化が欲しかった。
| 臥牛蝦夷日記 | 06:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
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