国道へ出て、私たちは、西大寺に向かうため、道路を北に進む。
唐招提寺から西大寺まではかなりの道のりがある。バスに乗ればいいものを、何となく歩き出してしまった。それでも、途中の風景や町並みを4人で楽しみながら進む。
目的地の西大寺は、静かさを通り越して、閑散としたものである。元来、一対となる東大寺とは比べるものがない様である。そう言えば、歴史の教科書に、東大寺や興福寺、奈良ではないが比叡山の僧兵という言葉は出てくるものの、西大寺の僧兵という言葉に出会ったことがない。「こんな寺にこそ歴史を見つめることが出来る」などと書いてあった書き物を読んだ記憶が呼び覚まされて、もしかしたら、当時から権力に近いところだけが繁栄し、そうでないとことろはなすがままの歴史をたどるものなのかも知れないなどと、変に分かったようなことを思いつく。由緒正しい寺で、そんな不遜な考えに浸るのであった。
西大寺から、東に向かい、平城京跡を訪ねる。
京都御所のように、過去から現代に続く建物が残っているわけでもなく、ただ広い土地に見た目にきれいな公園が広がり、遺構の説明板が所々にあったりする。柱跡の様を眺めながら、ここに華々しい色彩の建物でもあったのかと思いを巡らすのも、これまでの旅にはなかった新しい感覚である。
平城京跡からは、バスに乗って、法華寺、続いて海竜王寺を拝観。西大寺もそんな感じだったが、ここの二つのお寺も、今は近所の子供達が遊んでいるような寺院で、法隆寺・薬師寺・唐招提寺と巡ってきただけに、そのあまりの違いに、なにかしら複雑な思いを抱くのではあるが、寺院が観光客でにぎわうことの方がむしろ異景なのであって、こうした様にある寺が真っ当なのかも知れないとも思ったりする。
京都からの旅で、観光客のたむろする場所ばかりを見慣れたせいなのかも知れない。
【関連リンク】
奈良観光 平城京跡
海竜王寺 ”Temple Walker"
法華寺 ”Temple Walker"
”Temple Walker"の長谷川猫さんのコメントを読んでいると、私の見た目だけの印象がいかに浅はかであるかを思い知らされます・・・・・。